側室と菖蒲
朝焼彩茜色

  切れ長の目
  切れ長の唇
  くっきり彫られた鎖骨

渋味 紫色の打ち掛け模様は 男華の菖蒲

 側室に成り上がった時
 生きるのをやめた

政治の星の字も心得ぬ 丸みの弱い女々しい正室

貴様さえ命を宿せば アタシに用はなかった

  切れ長の切れた目
  切れ長の切れた唇
  くっきり彫られた鎖骨に 涙が溜まる

 側室に成り上がった時
 生きるのをやめた

アタシはもうすぐ下劣な男にぐちゃぐちゃにされる

見送った 父上様母上様

アタシは菖蒲になりたい

 アタシの一人称は分裂し 暗闇から生まれ暗闇に帰る影が 何十にも圧し掛かり
           血が暗闇から生まれ暗闇にさえ帰れず 吐き出る


   アタシは菖蒲になりたい

政治の板ばさみ 新たな産声に託す愚かさよ

貴様とさえ すれちがわなければーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


      血が泣く
      下劣の血を永遠に吐き出す

    亡骸にさえ指一本触れさすものか!


  侮辱が宿る切れ長の目
  屈辱が宿る切れ長の唇
  辱めが下劣を殺す 怒の濁り血溢れ出す涙


  菖蒲は男の華
  菖蒲は男
  凛々しい男

渋味 紫色の菖蒲 愛する  に抱かれなければ トリカブトに

 魂を包む

アタシの選んだ兜に
 二言は無い

政治の星の字も読めぬ 器から漏れる愚かさよ
時間だけ かけるだけかけて 滅びゆくがいい!

  トリカブトに魂を包む
アタシが選んだ兜は
 二度と生まれ変わらない


  覚悟の華は菖蒲色
  永遠に菖蒲の華を待っている

暗闇からの生まれを繰り返すだけ 繰り返し

滅びたアタシは
       
    想いを馳せれますように

    菖蒲に魂を包む


自由詩 側室と菖蒲 Copyright 朝焼彩茜色 2012-05-01 12:09:31
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