使徒たち、あるいは土曜日に朝食をとらないわけについて
動坂昇

 
 
 
空で眠るのに必要な高さをはかろうとすればいつも
そびえたつビルの屋上に十三人の男女の影が並ぶのだった
みな一様にうつむき
しかしてんでばらばらにアスファルトの彼方を指さして
重力の中心をめぐる個人の解釈の相違についてひとしきり語りあうと
それからはもう両手を広げて
ただじっとしているのだ
飛び立つまでは十字架であると言わんばかりに
地の底から見上げるぼくにしてみれば
いつの間にかひとりいなくなっているのに
仲間たちがいつ気づくか それだけが気がかりだ
 
 
 


自由詩 使徒たち、あるいは土曜日に朝食をとらないわけについて Copyright 動坂昇 2012-04-23 23:17:22
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