友垣へ花束を
木原東子

黒い真珠の美弥さんは
思いやり善意何気なく
エジプトの王女の風情
霊の修練されたる人と
   (阪神大震災の前に途絶えた連絡)

恋人でも恋うように
7歳の光子ちゃんと
14歳の淳子さんは
ややに不安な学校に
楽しみを与えたる花
   (光子ちゃんとは後年ぱったり出逢った
    淳子さんは寡婦となりどうしたか)

中学時代の遊び仲間
洋子さんと亮子さん
素直が程よいふたり
自分の路へ分かれた
幸せを得たか知らず
   (洋子さんは環境に多分恵まれず
    後年ばったり出逢った亮子さんは
    浮き沈み激しかった筈)

高校の時なにゆえか
マドンナ玲子さんと
つるんで不利益にて
しかし親身に接して
もらい高く飛びたつ
彼女を見送った夜を
    (恐らく賢い母親で教授夫人の筈)

緑子さんも3人組で
春の野の菫のかおり
人生のもろもろ語る
会えば時の過ぎざる
ごとしと昔のセンス
    (子は授からなかったがキャリアを積んで
     夫と猫と暮らして元気)

大学時代は富子さん
むこうからぐんぐん
好かれたがその内に
三角関係となりはて
無惨だった、けれど
    (プールでぱったり出逢って以来
     何も無かったようにつき合った)

雪子さん妖精のよう
大学院時代授かった
終生の友しばし音信
なくて信頼は失わず
ネットの海で再会し
姉妹のなき二人ゆえ
心の支えまさにそう

またも授かる友一人
この歳にして同好の
生の不幸を語りあう
お互いに引き立てて
励まし励まし生きる

こうして清き花束を
捧げてやまぬ友垣の

その友垣の輪の外に
懐かしき面々もある
引っ込み思案のゆえ
偶然に授かるまでと
待つ好もしき人間を


自由詩 友垣へ花束を Copyright 木原東子 2012-04-01 20:02:06
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