この世界で君よ歌え
うめぜき


声を上げて、歌いながら
幼い日 螺旋階段を見上げている僕は
空の蒼さを はじめて信じた

空の蒼さが 神話になる時
僕は公園のベンチで 泣いた
膝小僧を抱えて
気づかれないように

気づかれないように
君は美しい協奏曲になっていく
やがて
僕は君を結べなくなった

もう何年も君はいない
空に風化してしまった
都会生まれの足音が
ビルの谷間に鈍色を差し込んでいく

どんよりとした世界だ
何も見えない
息が出来ない





声を上げて、歌いながら
君を探している

君の欠片を探して
僕は歌う
遠い昔
神話になってしまったあの蒼い空で

君よ
歌ってくれ





自由詩 この世界で君よ歌え Copyright うめぜき 2012-03-03 01:42:40
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