バレリーナ
そらの珊瑚

バレリーナの背には
透明な羽がある

それは
一見すると
柔らかそうに見えるが
実は
アンドゥトロワと繰り返される
日々の鍛錬によって
美しい鋼になったその肉体と
同じくして
透明で強健な羽

トゥシューズを垂直に突き刺し
その軸は ぶれずに
元の位置に
戻ってくる
グランフェッテ
そこにあるのは 永遠だ

バレリーナの
白いチュチュを纏った腰を支えている
その両手は
つかず離れずの距離を保つ

その手を添え物と思いなさい

回っているのは
あなたのその脚なのだ
回らせているのは
あなたの羽なのだ
その手は
あなたのために差し出されたものであるが
頼ってはいけない

半狂乱のジゼルが
鏡の中で微笑む
まだ
人生の幕は降りないようだ
舞台を
降りるまで
自分の脚で 
踊らなくてはならないのだ

その手を添え物と思いなさい



自由詩 バレリーナ Copyright そらの珊瑚 2012-01-24 09:50:44
notebook Home 戻る