あおぞら
木屋 亞万

あおぞらにむかって
ほんはひらかれた
せかいのだれもが
てにとれるように

時間の波に押し流されることなく
権利の射程圏内から逃れて
生き残った言葉の集落は
門を開いて客人を待つ

このむらはぶじでした
あおぞらにむかって
ほんをひらきます
よんでください

本が私を呼んでいる
呼んでいる本を読んでいる
本の向こうにいた
言葉の持ち主を呼んでいる

せかいとつながることは
どういうことだろう
せかいをしることは
どういうことだろう

青空に向かって
言葉を投げてみよう
この窓からあの空へ
窓と窓をつなぐ空中の網へ

あおぞらにはうみもりくもない
だれのものでもない
ただつながっている
せかいをおおっている

私が言葉を紡ぐから
あなたは音楽を
あなたは絵画を
あなたは舞踏を
青空の上で合作を

せかいは
ひとつではないかもしれない
それでも
いくつものちいさなまどをつないで
みんなでひとつのあおぞらをつくろうよ


自由詩 あおぞら Copyright 木屋 亞万 2012-01-15 01:56:51
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