faik

何故なんだ、と詰った僕を
何故でしょう、と担ぐ君
当然僕は逆上し
そんな僕の態度に当然君は困惑し
それが益々不愉快で僕は怒り
それが益々不可解で君もまた


押し合い圧し合い水掛け合い
ありとあらゆる言葉を弄した
不毛な喧嘩も酣を迎えた頃
論、と叫んだ君の口から
待ってましたと白天狗
蒙、と叫んだ僕の口から
おらも混ぜろと赤い牛(べこ)
部屋に散らした暴言を
あれよあれよと担ぎ上げ
なんのご利益もないそれを
神輿のように
わっしょいわっしょい

一体どういう幻覚か
呆気に取られる僕らを余所に
身に覚えのないお囃子が
そこかしこから三、三、七


わっしょいわっしょい
やっちまえ
わっしょいわっしょい
おまつりだ


当然僕は困惑し
当然君も困惑し
顔を見合わせ数秒で
同じ答えに辿り着く



「触らぬ神に、祟りなし」


自由詩 Copyright faik 2012-01-11 20:57:20
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