沈黙恐怖症の恋人
そらの珊瑚

けたたましい目覚ましの音で
新しい一日が始まる
レプリカントのスタートスイッチが入る
洗濯機がしゃべる
電子レンジがしゃべる
TVがしゃがべっているのは
今日の天気予報
くもりのち雨
そのうち空もしゃべり出すだろう

沈黙恐怖症の恋人
しゃべっていないと
世界が止まってしまうと思ってる
いつしか
コトバはただのBGMになり
流れる景色に合流していく

句読点から句読点の間さえ埋めようと
背中のネジをキリキリ巻く

無音に怯え
夢の中でさえ
しゃべってる

私は意味のない百の記号より
たったひとつでも
真実の言葉がほしい

沈黙恐怖症の
おしゃべりな恋人


自由詩 沈黙恐怖症の恋人 Copyright そらの珊瑚 2011-12-09 11:31:01
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