この町の再生を
オーガンジー越しに覗く
こんな曇天に
輝く町を視ているひともいると知った、朝
こちらでは
隣の鉄工場が
けなげに仕事を始めたことを聴くことができる
昨夜の消滅に
ひとつの消滅にまた
立ち会うことのなかった
曖昧な時間は遠のいてゆき、
生まれ変わった作業音を響かせて
あと九時間ほどは
工場は働き続けるだろう
通りがかると
青い白い燐粉のようなものを散らしながら
鉄材が加工されているのを
知ることはできるが
そこ、はそこ、で
ここ、ではないままに
朝は発った
わたしのまなざし越しの
再生ならば
ここ、に掴める
…ふいに町が愛しくなって
なみだがこぼれた
ここは故郷なんだ、と
うそを自分に告げてみた