恋と愛、なにが違うの?
木屋 亞万

君は歌う
恋をしたと歌う
恋は罠そして穴

青春の瓦斯が立ち込める部屋で
起こる小さな火花
乱雑な部屋に引火して
ちいさな私は燃え上がる
なにもかもが恋に焦がれていく

恋の炎がいつ消えるのか
まだ私がちいさいうちは
あっという間に燃え尽きる
寝て起きたら鎮火している
もっと幼い頃は火花がぱちぱち光るだけ
瓦斯の少ない頃なんか
燃えたとしても小火ばかり

恋は赤い
恋は炎
燃え上がる焦がす爆発する
恋は危険
落ちていく捕まる奪われる


私は歌う
愛していると歌う
愛は太陽そして水

愛はみずみずしい身体の中を
どくどくと流れる血潮
温もりを身体中に届けて
汚いものを受け取る
静かに身体を動かしている
終わりも始まりもない
ただ包み込む
全身に行き渡る

愛は休まない
当然のように働く
毎朝地平線から顔を出し
一日の終わりに平然と沈んでいく
そのありがたみは
届かなくなったときにだけ
世界を覆いつくす孤独とともに
骨身に沁みて感じられる

愛は赤い
愛は血
沁みる注ぐ溺れる
愛は生育
生み出す与える育む

恋と愛
君と私
届かない
同じなはずの
二つのなにか


自由詩 恋と愛、なにが違うの? Copyright 木屋 亞万 2011-12-08 00:20:28
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