親父の訣別
梅昆布茶

たいして欲のない親父にも幸せ願望はかろうじてあったのですー

ある日親父は彼女には大好きな彼氏がいる事を悟りました

恋愛に悟りなんて必要ねえしと

思われるかもしれませんが

仏陀の2564ばんめのできの悪い弟子の親父の悟りは見過ごせません


今の彼女はアバンチュールの風船です〜

手を繋いでいる間だけそばにいるように見えるけれども

いつも虚しい空に逃げて行ってしまいます


親父が求めているのはたぶん浮気な子猫ちゃんではありませんでした

子供のうるさい平凡なフツーの家庭だったのです〜


もともと彼女でもなかったのだし子猫ちゃんはやめました

公園の噴水のまわりで子供たちと遊びたいのです〜


けっこう親父は一人が好きでおふくろが入院してるせいもあって休みの日には

くるりのCdをのったりと聴いていたりするのです〜


孤独には慣れていますがやっぱりちょっとさびしいのです〜ね

空には雲と風と太陽があるように宇宙の摂理に忠実な自分でありたいと馬鹿なりに考えているのです〜


人類はとりあえず存続させなければならないとか

隣のばあちゃんは風邪が治っただろうかとか

いつもけっこう哲学的な命題をいっぱい抱えているのです〜ね


ときどきストーカーもやりますが憎めない奴なのです〜ね

夜は似合いません


今日も煙草を吸って呑気にギターを弾いたりしています

けっこう島唄はうまいのですよ

ただ聞きたくない人はガマンしてください


今度の親父は珍しく本気です

ちょっと遠いけれどまわり道をさがし始めています

やはり多少の知恵は残っていたのですね


そう子供たちが待っているのです

馬鹿オヤジはもうやめてってね


そうオヤジは成長しました

メタモルフォーゼです


とっても似合わない言葉だけれど

良い響きです

かようにオヤジはきょうも驀進するのです〜ね






自由詩 親父の訣別 Copyright 梅昆布茶 2011-12-07 10:35:01
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