ふりそそぐ陽光のしたで
梅昆布茶

何者にもなりたく無かった僕は闇のなかでそっと生まれた

認識の外の世界で生成する螢のように浮遊する外惑星だ


新しい地平線は空っぽの世界に灯をともす微笑み

漆黒の壁さえもよじ登れる気がするし


履行されない契約だけが命を穢しているのだな

メビウスの輪の時間論は永遠の過去へと連鎖する想い


重力と戦う加速度は僕の死の速さと同等の物理学

方向を失ったベクトルは失速する悲しみを恒に孕んでいるし


瓦礫の累積は歴史とよばれ珍重されて

ギブスのように僕らを規定してくるのだ


三角の定理は丸の論理に柔らかく包摂されてゆく

たぶんそれは良いことなのだろう


知性という生物学上のエラーがここまで蔓延してしまったいじょう

僅かに残った解毒剤は愛


使い古されたでもそれしか無いもの

愛の意味を捜索することが詩の目的でしょ?


源氏物語絵巻は今も発動し続けていますね

この小さな世界で一番古い小説なのですが


生きとし生けるものに愛を

そしてあなたにすべての幸福がもたらされるように

ふりそそぐ陽光のように




自由詩 ふりそそぐ陽光のしたで Copyright 梅昆布茶 2011-10-27 03:10:36
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