狐つき
合耕

長縄跳びの長い紐で 電車の窓から誘う
あれは狐つき

ビルの屋上に上り 糸電話をどこまでも伸ばそうとする
あれも狐つき

順番に口を開き 遠くの山を意識するよう指示した
聞こえる? 聞こえているのかな どうもこの空気は黄色すぎて
素早く全員にカメラを向けるためのケーブルを
掴み上げたり 踏んだりしていると泣いてしまう
これも狐つき

プラカードを首から下げる紐で 一瞬で壁にペンキを塗る
あれは狐つき

紙飛行機に細い糸をつなげ こっそり飛ばしてぶつける
あれも狐つき

隠れんぼしているうちに寂しくなるといけないから
みんな同じ服を着ていればいいかも 病気のとき専用のコスプレ術を知るのだ
素早く全員にマイクを渡すにはどうしよう、と悩み
結果ロープを使うことにして 振り回していると熱中してしまう
これだって やはり狐つき


自由詩 狐つき Copyright 合耕 2004-11-21 20:55:14
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