【 えんどう豆 】
泡沫恋歌

春になるとお母さんは
いっぱいえんどう豆を買ってくる
それを いつもふたりで
キッチンのテーブルで殻をむいた
学校のは話をしながら
近所の噂話を聴きながら
零れ落ちた えんどう豆を拾っては
ふたりで笑った 春のひととき

炊きたての炊飯器の中で
えんどう豆が光ってる
お兄ちゃんは豆ごはんが
嫌いだって ほっぺた膨らませた
あたしが殻むいたんだからね
お手伝いを自慢気に 鼻膨らませる
いつもより すこし多めにおかわりして
家族欄団で食べた 豆ごはんの味

今は病気のお母さん
もう あなたが炊いた豆ごはんを
家族で食べられないけど……
掌から零れ落ちた えんどう豆の粒
あなたの豆ごはんの味を想い出しながら
母から娘へと伝わる 豆ごはんの味
母の愛と共に わたしの心に伝わった



自由詩 【 えんどう豆 】 Copyright 泡沫恋歌 2011-10-04 21:20:30
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