弱虫
ピッピ

お腹をこわした程度で、と思われるかも知れない
健康には全く気を遣わず
「夜中に食べるからジャンクフードは価値があるのだ」と
チーズのたらふく振りかけられたハンバーガーを嗜み
それでも今日までこうして何事もなく来ていた
日々起こる体のガタを歳のせいにして
月日が経つのは早いものだとごちる
そういう生活も嫌いじゃなかった

熱もないのに視界がぐるぐるしている
昨日の酒場では酒を一滴も飲んでいない
あそこで食ったものが悪かったのか
その後着替えもせずに床に着いたからか
近頃はめっきり寒くなった
歳を食うと、
歳を食うと季節の変わり目に脆くなる
心が死にたがっていると言うのか
先週までは随分と薄着で過ごしてきたじゃないか
あれからもう相当気温も下がったのだろう
昨日来なかった奴の事を思い出す
田中、佐藤、塩木、
金本には誰かが巫山戯て電話を掛けていただろう
あいつも困ったように
「最近調子が良くないんだ」
と言っていた気がする

何にでも怒っていたなあ
仕事の話はすんなとか
場の雰囲気が悪くなると思ってしたことなのに
結局は俺が一番場を悪くしていた
そのツケだったのかもしれない
たまに噪げばこうなるのだ
吐き気が来る
こんなことをしている場合じゃないのか
暴れている
皮下脂肪の下で
延々と

アルコールランプに蓋をするように
ここでこうやって息絶えても
いいのかもしれない と
暇だから
暇すぎるから
ティッシュを一枚顔に乗せて
眠りにつこうとして
寝返りも打てないし
自分の息が籠るし
そうやって生のしがらみが俺を苦しめて
ようやく現世に帰ってきて
馬鹿みたいだな、と笑いながら
起き上がって薬を飲んで
また少し眠る

そこで見てるんだろ
笑ってもいいんだぜ


自由詩 弱虫 Copyright ピッピ 2011-10-02 00:13:27
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