上海夜
うめぜき




生きている人がおそろしい匂いを放っている

動物のようなクラクション

雑多な陽射しが交差しながら

肌や、路地や、建物や、自転車や、青い看板やら、を焦がす

おそろしい匂いを放っている

リズムや高さが違う人々の眼差し

私は人知れず

瞼を閉じたくなるのだった



ネオンが灯る頃になると

誰かが誰かに見せびらかせたい上海夜が姿を現し

その向こう側

おぞましい匂いの中で

誰かが誰かを

獣のように抱いているのだろう



おそろしい匂いは

香水の瓶のようなビルディングの隙間に

封じ込められている



今もなお











自由詩 上海夜 Copyright うめぜき 2011-09-17 20:39:03
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