金魚 パートⅠ
……とある蛙

金魚鉢に金魚
上から覗き込むと金魚
胸鰭を動かし
尾鰭を動かし
背鰭を動かし
何となく静止する金魚よ。

夏だけ生きている金魚
ほんの数リットルの水に漂う金魚
横から観ると大きく見える金魚
黒猫に脅され金魚鉢を右往左往する金魚
金魚は午睡でワクワクする恋愛の夢を見るか
目の前には黒猫の前脚が掠める。

金魚すくいで持ち帰りの金魚
ビニール袋に?匹だけの孤独な金魚
本当はポイですくい取られていないのに
網で絡め取られてビニール行きの金魚
金魚屋の親父のペテンの片棒を担っている
荷の重い孤独な金魚よ
お前には平安な明日がある。きっと

赤いべべ着たかわいい金魚
そのうち鉢の主となり
色褪せ白く だだ太り
玄関の醜い主人となって
金魚鉢で静止しうたた寝
不規則に黒猫の手慰み
やはり平安な日もなく
孤独にパクパク餌を食う

種類不明の太めの金魚よ
色褪せ白い太めの金魚
家人すら無視する

居候


自由詩 金魚 パートⅠ Copyright ……とある蛙 2011-07-25 16:41:59
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