上を向いて歩く
……とある蛙

風は丘を越えて吹いている
丘を覆い尽くす向日葵は
風に吹かれていくらか首を傾げ
黄色い丸顔を撫ぜる風

道の下は荒れ地
昔昔その昔
そこは大きな畑 だった
広大な綿花畑 だった
コットンフィールズ

向日葵の丘から見える山
その麓に町が出来
その裏側に白い建物
金が出て仕事が出来て
クリーンで大きな公の仕事

そして今は誰もいない。
ネズミの死骸が数体
彼らの持ち物だ

彼らの土地を見下ろす丘に
向日葵の丘に僕は立つ
向日葵の丘に僕は立つ
向日葵の丘の上
ぽっかり浮かぶ白い雲
質感は豊かで 空の青は深い
上を見上げた僕の目には
雲の白、空の青は深い
向日葵の黄色、葉の緑

僕は上を向いて歩きだした。
白い雲の流れる方向に
僕は上を向いて歩きだした。
今度こそ騙されまいと
僕は上を向いて歩きだした
今度こそみんなの涙を見ないように
僕は上を向いて歩きだした。
自分自身の涙を見せないように

あの風が吹いてくる
あの風が吹いている
あの希望の風が顔を撫ぜるので
僕はまた歩き出した。
今度こそと思ってまた歩き出した。


自由詩 上を向いて歩く Copyright ……とある蛙 2011-07-23 14:28:57
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