野良猫その1
……とある蛙

そいつは僕の眼をじっと見つめ
/媚を売るでも無く
/何か一言言って僕の歩く先を
先回りしてしっぽを立ててステップを踏む
/石畳の路地は濡れて光っており
/黄色く彩色された建物の壁面に囲まれ、
路地は少し進行方向に傾斜した坂道
/港に向かって下りて行く
/突然開ける視界の明るさ
眩い光のシャワーの中
/朝の港に接岸する
漁猟から帰投の漁船数隻
/頭上を舞う烏数十羽
/僕を道案内した黒い肉食獣は
/鰯を漁師から数匹貰い
/わしゃわしゃ食らいつく
/岬に望む緑の崖
/崖に鳶がヒューヒュウルル
/小さな黒いそいつは鰯を食い終わり
/そっとこちらを一瞥し
舌なめずりをしたままま
/そのまま路地へまた消えた。


自由詩 野良猫その1 Copyright ……とある蛙 2011-07-04 11:14:18
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