鴎ー野良猫その1の上空ー
……とある蛙

港町の浜辺に面した食堂
浜辺の見える出窓に置かれた
古ボケた大きなラジオから
流れる昔のエレジィは
淋しく悲しい旋律で
波止場につながる道沿いを
黒いショールに包まれた
港のおカマの頭上舞う
大きな群れの鴉たち
岬の崖に鳶一羽
鴉を避けて何狙う。
浜辺の片隅 イワシ食う
猫の丸めた背の上で
じっと浮かんで隙ねらう。

ついに自由な筈の鴎たち
漁港の空は鴉だけ
ついに鴎は消えるのか
それとも北に飛んだのか


自由詩 鴎ー野良猫その1の上空ー Copyright ……とある蛙 2011-07-05 11:39:15
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