幸せというもの
……とある蛙

標高二六〇〇のティエンブー

幸せの街、幸せの国
グロスナショナルハッピネス
GNHが世界一
何が幸せの基準なのか
GDPは156番目
民主主義には程遠い
民族衣装の着用義務
何をするにも許可がいる
それでもみんなハッピネス
何かを知るのは幸せなのか
何かをもつのは幸せなのか

結局みんな家族のように
父さんかぁさん僕妹
じいちゃんばぁちゃん
となりのおばちゃん
年に数度のお祝いと
それに出されるごちそうと
家族が増えたり減ったりする
大きな大きな安心感

それがずーっと続いて行く
家から見える山のように
それがずーっと続いて行く
家から見える空のように

それが本当の幸せで
他人が羨む家をもち
他人が羨む地位をもち
他人が羨む嫁をもち
他人が羨む金をもつ

その時々の欲望に
満足しては繰り返し
そのうちすべては飽きてきて
死ぬ直前には何も無い
何も無い空のよう
何も見えない夜の森のよう
山肌からは死の匂い

生きるにホントに大事なものは
日々の生活と家族だけ
安心できる身の回り
代々続く平穏な日々

他人が羨む地位は無く
他人が羨む嫁も無く
他人が羨む金も無く
他人が羨む家も無く
他人が羨む何も無い

しかし優しい風が吹き
しかし優しい人がいて
毎日同じ生活と
優しい家族と優しい時間

これで良いのかという少しの疑問


自由詩 幸せというもの Copyright ……とある蛙 2011-06-21 10:28:29
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