脱皮
あぐり




震えてからすこし
脱皮をしました
ちいさなかたちになって積もっていく
昨日までのわたしでしたそれは

ずっととどまっているそこにいて
爪を磨いているひとの温度は
ちょうど夜を想像したときのものとおなじです
どうしてかね、すこし床がみえないような気がするんだ
今日もわたしがふっていたの

からだがかるくなったみたいで
寝る前の柔軟だとか
寝ているときの呼吸だとか
いってしまえばこうふくの話
しあわせだとわたしたちというものは
居場所を決められないいきものになります
すこしずつ離れていってしまう表皮は
わたしのすべてが煮凝った白い白いそういうものです

ミントガムをおなかにしまいこんだみたいな
かかとを置いていくわたしの
とおくまでいけると思います
脱皮したわたしなら
あなたの床ばかりに積もっていくんでしょう
すきとおって風になって
それでもきっとあなたの部屋のカーテンを揺らす
そういうそういういきものです








自由詩 脱皮 Copyright あぐり 2011-06-14 23:01:00縦
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