花の名前
あぐり



呪いみたいに花の名前を教えてあげよう
空からも飛べない日には
なにもかもが微笑ましいあかるさ
たとえば
さようならよりも遠い灯台で
みつけだされてしまう色
どこからでもふと
わかるのが恋だという


しあわせにいきていると
どうにも現実ばかりがすべっていくようにおもえます
無意識にしがみつけばはがれるかさぶたの
ゆるやかな感覚として赤い花の名前がありました
どうしてこんなにも白い、
からだを通して流れていく景色のにおいが熱い
頭の中で響くのは音でも声でもなくて
無理にでも口に出すのなら
花の名前になった


だから
呪いのようにあの花の名前を教えてあげよう
なにもかもはねかえして光っている紙の上
何度でもこの花の
この赤い花の名前を教えてあげよう
その為だけに今日も花影の隣で
芯をたてながらあなたの輪郭を撫でる









自由詩 花の名前 Copyright あぐり 2011-06-14 22:42:42
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