三鬼面
salco

あたしは妬む
他人の有り様を妬むのだよ
若い者、綺麗な者、愛に浴す者、持てる者達が憎らしい
だから顔がほら、こんなに腐って黒くなってしまったのさ

あたしは疎む
邪魔立ては許さない
前を塞ぐ者、後ろで足を引っぱる者は我が子だろうと
だから紅蓮の炎に照らされて、ああ顔が熱い、ひどく熱いよ

あたしは何も
悪くないのよ天真爛漫
憎しみも悪意もないの、自分の気持を夢を生きるだけ
愚かな独り善がり、相手の不興を思い遣らぬと叱られる白い顔


あたしはだからさ、誰からも幸福にされなかった
たぎる業腹が満たされないから餓鬼道に堕ちてしまった
あたしは誰も、だあれも満たしてやらなかったからね
見て御覧、こうして股から他人の水子が数珠つなぎの養母だよ
あたしはわからない、こんなにも苦悶するのにどうして?
鼻だけ残して、目も耳も口も裏返ったのがさっぱりわからない


自由詩 三鬼面 Copyright salco 2011-02-05 09:44:20
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