エビアン
虹村 凌

適当な恰好で深夜一時のコンビニに入る
無差別級な人生について考えながら
適当に食べるものを物色する
変革の時に雪が降ると言う事について考えながら
適当に飲むものを物色する
今日はロクに仕事をしない白人が喋っている動画を
むかし流行ったゲームに似た名前をしたソフトで
編集していた
明日は全国の生徒達の為に受けた事も無いセンター試験の仕事をする

天賦の才能を弱者代表が打ち負かして格差解消
何て出来る訳が無いのでみんな就職する
就職出来なかった僕はバイトをする
ウサギと走った亀より無策でうかつな人生を送る
誰かのミスを待ち続けて
君の帰りを待ち続けて
あの子の告白を待ち続けている
でもずっとそうしている訳にも行かないので
誰かがミスるまでに
君が帰ってくるまでに
あの子が僕を好きと言うまでに
精々となりの家の人のよりも美味しいカレーを作る
くらいの事しか出来ないけれど
隣の家の人のカレーなんて喰った事無い

そんな戯れ言は
吉祥寺駅前の狭い喫煙所で酔っ払いが言っていた
みんなフリーザになるしかないんだ
でも結局はサイヤ人が来るから
ナッパになるしかない
みたいな事と大差が無いので
吉祥寺駅前の狭い喫煙所でそれをメモろうとした俺は
行き詰まってシャブとかコークとかガンジャに手を出す
自称アーティストとあんまり変わらない

隣の家の人はどんなカレーを作るのだろう

200円のカップ麺も2000円のステーキも20000円の寿司も
口からゲロになって出るかケツから糞になって出るか
その程度の違いしか無いじゃん
味の違いもわかんないで喰ったり飲んだりする毎日
まるで便所をエビアンで流すくらいの無駄っぷりを披露して
パラノイア?何それ楽しいの?
みたいな適当な感じで笑う

こんな事を言うのにも飽きた
君が帰ってきたら
あの子も一緒に
並んで眠ろう

カレーが食べたい


自由詩 エビアン Copyright 虹村 凌 2011-01-15 00:38:30
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