海岸線、野道、ベッド、夢、都会の早朝
うめぜき



波が打ち寄せる
冬の海岸では、夏の抜け殻が永遠のようだ
水平線の彼方に摩天楼が広がる
闇夜を切り裂くネオンの宝石箱だ

名も知らぬ一輪の花に
そよ風が吹いている
揺れるその余韻には
母の口笛が隠されている

枕は冷たい
毎晩、君の体温を思い浮かべる
触れられるものと触れられないものとの間には
幼な子が夢中になる御伽の話がくべられていた

わたしたちの高らかな遠吠えも
あなたのなめらかな姿も
太陽の下で
美しかったり、美しくなかったりしていく

美しかったり、美しくなかったりして
魔法の解けていく夜空に
開かれていく青空
音符に変わる足音や交差点の騒音やらが
ハーモニーになっていく
都会に広がる田園
硬質な
スーツの衣擦れ




自由詩 海岸線、野道、ベッド、夢、都会の早朝 Copyright うめぜき 2011-01-12 01:22:35
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