はしごから降りたばかりのきみだから空のにおいが漂っている


桜より葉桜を見てはしゃぎだす僕によく似たバカがここにも


金魚すくい破れし網でいつまでもふたりで恋など追い駆けた夏


秋風に煙草のけむり舞い上がるきみを前にし見つめあう午後


まるで呪文のように昨夜から「りんご、りんご」とおまえはイヴか


もはや春を失くしてしまった僕らならいっそ青さえ失くしてしまえ