Sundown dazzling day
本木はじめ

死火山に松明投げるかのごとくあなたが閉ざした扉をひらく


灯台の下で探すが見つからぬ懐中電灯を持ちしあなたが


ふたりしてベンチに座りブランコの鳴き声などを聞いた十月


畑には一羽の鴉も近寄らず案山子しているぼくたちふたり


黒鍵に指おくきみが鳴いている小鳥の声を捕らえるために


果物を食べるあなたと秋の夜半 蛇を殺した話しなどする


焚き火の夜 枯れているのはわたしたち燃え上がるのもわたしたちだけ


シャッターを切ってる暇もないほどの恋よりのちのアルバムばかり


捨てるために拾うのではなく拾うために捨てねばならぬ落ち葉しきりに


重力と呼ばれしものがある限り不安で不安を支えあうだけ


燃えつきし枯れ葉と同じ灰色の恋がふたりの唯一の恋


思い出を追えばいつでも十月の夕日ばかりが背景となる






短歌 Sundown dazzling day Copyright 本木はじめ 2004-10-31 17:01:47
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