アイデンティティ
Giton
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「心から愛する人がいたらそれがぼくなんだ」
世界の果ての向こうから小さな小さな囁き
となって伝わって来るきみの声
それはあまりにも優しすぎて残酷だ
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アイデンティティとは何だろうきみがきみ
だってことがアイデンティティなのかそれならぼく
はどうなる唯一のきみを喪ったぼくは?死せる者
は生者の追憶のなかに生きると云うが
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きみでない人の身体を心を抱いていても頭の中
はいつもきみだけを抱いている性無しのぼく
はどうなるすぐとなりに臥してぼくの手のひら
を迎えてくれる優しい身体その綺麗な唇
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にさえも遥かなきみの面影を探し求めているぼく
は人への裏切りでないとしたら何なのか
アイデンティティ唯一のきみだけ
を追い求める矯めようのない性
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喪われた者を胸に抱き愛する人を追い求め
儚く消えたきみの優しさきみを生きさせな
かったこの世を恨み抗い続ける憩い無き生
果てしない悔い胸にきみの大きさの空洞
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を掻き抱きつつ何者も充たし
得ぬ深い空洞を抱きつついつかきみ
が現れるのを待ち続けいつかきみ
の形を抱いたままこの世を去って行く日まで
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