このはなさくや
……とある蛙



海辺で見初めた瓊々杵(ニニギ)は想う
木花之佐久夜(このはなさくや)の美しさ
国つ神の娘であったが、
直ちに契りを申し入れ

このはなさくやは戸惑うだけ
笠沙の岬は出会いの場
空刺国に向かう岬

木花之佐久夜(このはなさくや)の言葉を聞いて
父大山祇命(おおやまつみのみこと)は上機嫌
姉の石長(いわなが)とともに
多くの貢ぎ物と一緒に嫁がせようと
そのこと瓊々杵(ニニギ)に伝えたが、

おおやまつみの貢ぎ物
長寿の子孫と芳しい子孫
しかし、瓊々杵(ニニギ)が想ったのは
木花之佐久夜(このはなさくや)で十分で
姉の石長送り返す、

疑心暗鬼の瓊々杵(ニニギ)
木花之佐久夜(このはなさくや)と契ったが
一晩契っただけで、
子を身籠もることに不審を抱き
このはなさくやを責め立てる。

室に火をつけ子を産んで
身の潔白が晴れようものか
誓約(うけい)の仕方の悲劇性

海幸、山幸は不倫の子
それともこのはなさくやの愛の子か?
たとえ父がニニギでなく
国つ神との愛の子でも

真実(ほんと)は火の中闇の中
死んだものに口はない

いずれにしてもわれわれの
その孫として
始馭天下之天皇(はつくにしらすめのみこと)
神武が生まれ出る。


自由詩 このはなさくや Copyright ……とある蛙 2010-11-20 14:28:57
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