よそおい
真島正人

静かな暖かい
春の夜には
背筋が寒くなるぐらい
柔らかい気持ちになる
僕は生きていて、
空気を吸っているのだと
有機物と有機物が
結合して
うまく生命が続いていると

生暖かい
酒を
喉に流して
僕はうがいをする
さっき食べた夕食が
胃の中で消化されてゆく

それで
大気は
美しくて、
醜いものも
たくさんあるけれど
僕は葡萄の木
青い実をつけて
重くなっている

それで
大気は
とろとろに
なって
僕は
葡萄の木
怒りも絶望も
刹那的な喜びすら
この胸にたくさんある



自由詩 よそおい Copyright 真島正人 2010-08-09 06:56:23
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