ぐしゃぐしゃ
虹村 凌

良かれ悪かれ言いたい事を言い放つ
無責任な投げっ放しジャーマンスープレックス
再び上げるガードガードガード
何処まで来たかもわからない
どれくらい遠くまで来たかもわからない
今は僕の人生のどこら辺にいる?
何章目にいる?
一生の何分の一かを
良く出来た腕時計で見る事が出来たら
もう少し色々と出来るかも知れないのに

人生はトンボみたいに前に進むしか無いみたいで
どれくらい遠くまで来たって後戻りは出来ない
見えないくらいのスローペースな前進
なぁ今回はどれくらい進んだ?
わかりゃしねぇ
ガード上げてうつむいてたら置いてけぼりくらっちまった
人と向き合えなくなっちまった
他人に興味が持てなくなっちまった


経堂のCD屋の黒尽くめのロック親父は今どうしてる?
誰も徹夜カラオケになんか付き合ってくれなくなって
雀荘だって学生料金で打てなくなって
未来も過去も無い話で時間を埋めて散って行って
八年とか言う月日が進化してんのか風化してんのか
友達だなんて言わない奴しか信じられねぇよ
愛も友情も何も信じられねぇ奴になっちまったよ
誰の所為だって
俺自身の所為でしかねぇけど


すり切れる程に色んな事から逃げ回ってるけど
次の交差点で事故るかも知れない
死ぬまで逃げ続けられるかな
友情愛情友情愛情、情、情、情
何がしたいのかもわかんなくなっちまった

俺が上手く笑えているのか泣けているのか
珍しく冷え込んだ七月の夜に
煙草の煙は水銀灯に照らされて紫色に光る
紫煙、紫煙、紫煙
あれから何回も季節を越えて
相変わらず僕はガードを上げている
もうあれから九回目の夏が来る

死んじゃう事を夢見る
他殺や自殺なんかじゃなくて
事故死みたいな事を
逃げ切れなくなったら死んじゃえばいいって
何時からか飼い始めた悪魔が笑う
ナイフを持って笑う俺を血まみれの俺が笑う
通り魔通り魔通り魔
逢い魔が時に眠る


9年前の俺が今の俺を見たら
きっとすぐに死んじゃうだろうな
泣き崩れるかも知れないな
マックブックに映る濁った目が
真っ直ぐに俺を見つめる
あぁ9回目の夏が来る

自由と言う名の留置所
俺は何の囚人なんだろう
生きてるのか死んでるのか
野垂れ死にするんだろうけど
ガードガードガードを上げて
逃げ回る逃げ回る
遠くまで

ぐしゃぐしゃ


自由詩 ぐしゃぐしゃ Copyright 虹村 凌 2010-07-13 20:29:38
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