もうすぐで用済みになる、赤い赤い天空の城で、彼女は短冊に「生きろ!」と書いた。夢が終わったら死ぬ気だった彼女は、強く、強く生きる事を誓った。死んだら僕を悲しませるし、傷つけるし、僕は僕を責めるだろう。そんな事はしたくないから、と、彼女は言っていた。薄らと、スティングのEnglish man in NYが聞こえてきていた。
僕は生きる事に希望を抱いてはいなかった。絶望していた訳でもない。それでも、生きる事は苦しむ事だと考えていた。だから、もう二度と生まれてくる事の無い様に。リインカーネーションから外れてしまいますように。
果たして彼女をそこまで生きる方向に持っていった事が正しいのだろうか?彼女は夢の終わりに死ぬ事を望んでいた。僕は夢の最中で殺されても仕方が無いと思っていた。安いドラマの様ではあるが、それでも構わないと、僕は思っていた。嘘かどうかはわからない。それが夢だったのだから、今はそれが本当かすらわからない。