ネイチャー・小暑
橘あまね

雨を欲する街が
コンクリートのサバンナだとしたら
ぼくは群れからはがれた
いっぴきのガゼルになって
待ち伏せていた風に食われる


舐めてもいいよ、と
赤い花々のうつわがひらき
惹かれるままに惹かれる
どうしようもない現在進行形にただれたい
悶々
やるかたないぼくのネイチャー


ぼくがいっぴきの泳ぐ細胞になったなら
目的地は上流ただ一点の
泳ぎ着く先
帰りたいなあ
あとづけのふるさとに
帰りたいよ
草原をまねた街を捨てて
帰りたい


七月の閃光と轟音が
交互にやってくる
この街を巡回する
ひれ伏せ、ほとばしる生命たち
ひれ伏せ



自由詩 ネイチャー・小暑 Copyright 橘あまね 2010-07-09 20:51:40
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