月にらくがき
あおば

                    100702




地震が来るとブロック塀は崩れやすく
危険です
3段以上積むのは非常識で
人の安全を考えない自分勝手な人です
新しい標語を考える
確かに崩れやすく
崩れると道路を塞ぎ
救急車
消防車
救援車の妨げとなりますが、
そこまで決めつける表現は如何なものと
年上の委員から質疑があった
3段以上積むのは危険ですと表現を和らげる
3段以上積んだら
死刑だとか
○○とか書いたらどうなるか
月の砂漠を王女様と王子様が駱駝に乗って歩く
この場面も非常識だと言う人が居る
あっという間に40人の盗賊に襲われる
身代金を要求されて
王国の金庫は空になり
王国の滅亡を早めるのだと
そうではありません
王女様と王子様以外は居ても居なくても要員として数え上げないのが高貴の間では普通のことで
当然のことながら何十人のお供の者に
一騎当千の警護の武士が付いている
総勢およそ500名
キャラバンは粛々と夜の道を辿る
昼間は暑いからテントを張って休む
それが砂漠の民の常識なのです

日が落ちて残照に染まる砂漠は紅く見えて
落書きを拒否する
真夜中に小さなオアシスに立ち寄って
水を補給して
直ぐに先を急ぐ
長居すると
食料その他が不足する
500名を養うだけの経済が不足する
なだらかな砂山を登り
風紋に悶える荒涼とした行く手は遥かに
手のひらに記す文字だけが寄る辺ない身を慰める月の夜でした。







「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作。タイトルは、若原光彦さん。



自由詩 月にらくがき Copyright あおば 2010-07-02 21:48:52
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