無回転姑
あおば

                 100626


攪拌式の大好きな里芋
タロイモを掘る
山芋も掘る
寒いところに住む
馬鈴薯が掘った
薩摩芋を売り歩く
攪拌式の洗濯ロボットが
回転式の新型洗濯機を売り歩く
マイコン内蔵のスマートな新製品と
分からない振りをした半導体は
砂の社に引き籠もると
水を得た魚が
隣の国から大きな魚を引っ張ってくる
回転式の洗濯機に魚を入れ
洗っては乾燥させて
日に三度の乾物を作る
売り歩くのは旧式の攪拌式洗濯機
てこでも動こうとしない男達を尻目に滅法活動的なので
いつまでも歩き続けて
今日は隣町で応援演説中と
ピカピカに洗われた新じゃがが得意げに話す
君は今晩、塩水で茹でられるのだと言っても
さほど気にしないようで
昼間の興奮に酔っていて意気軒昂
トウモロコシが腹空いてぶつぶつ言う前に
釜に塩水を張り
竈に火を入れてから
煮え立つ頃合いに蓋をする
無回転の勝利と国中が沸き立っているので
ここではなにも説明する必要がなくなった。






「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作。タイトルは、木屋 亞万さん。



自由詩 無回転姑 Copyright あおば 2010-06-26 22:33:44
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