発光する体
千月 話子

そのうち 夜は突然やって来るのだろう
こんな日々に
白夜が恋しい、、白夜が恋しい、、
と 唱えてみても
彼方の国の出来事で
暗闇に透明な涙も光りはしない


今 高い声で鳥が鳴いた
人の声が少しずつ小さくなっていく
やがて夜が 夕を消していくのだろう


私は うずくまる
カーテンは全部閉めない
僅かに光る深夜の薄闇で
ぐずぐずと 眠るのだ


軽い不眠症は夜を創造し
閉じた瞼の上を明るく照らす

 いつまでも落ちない意識
  鬱々と 夢が恋しい・・・



高まる体温に いつか火が点いて
夜中の三時 白く発光し始める体


命長らえた残り蚊が
呪文のような鱗粉を撒き散らす
白い 残り蛾を連れてやって来る

早く電気を消して 早く私の光りを消して
そして    私の気配も・・・・・・



半分閉じたカーテンに
正体不明の影が映っても
怖くない 朦朧

私の暗闇に落下して縮まる感覚に
身を丸くして 眠ろう
 灰羽と灯し火消えた鱗粉は夜の死体
風に飛ばされて
翌日がゆっくりとやって来るまで・・・・



うつらうつら と朝が起きる
こんな 日々
冷たい北部屋に直射日光は照らさない
滲むように薄っすらと光 讃える朝日が
この部屋を白く包むと
わたしは 危うい命の光りを
ゆっくりと 充電する

今夜また発光する 体のために。




自由詩 発光する体 Copyright 千月 話子 2004-10-08 17:09:50
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