ところの引き出しに仕舞われてしまったあなたに
……とある蛙

大きな引き出しは
アングリ口を開け
ようこそ、よくできたお客様です。
などと歯の浮いた世辞を言って
そのくせ、舌なめずりの音が
家中に響きわたっている。

それでも人の良いインテリ面した
勘違いたちは世辞を
まともに受けて鼻が高くなり
その鼻が珍味だと
引き出しはまた舌なめずり

一度挟まったら
さぁ大変
抜けるまもなく引き出しの中の
大きな舌が
べろんべろべろ舐め始め

いつも持っている命の風船は
引き出しの外の腕の中

風船はきちんとつかまれていないので
浮かんだまま、風に流され どこぞに消えた。
シャボン玉と同じく壊れて消えるのが風船だ。
しかし、シャボン玉のように可憐ではなく
爆裂破裂、物笑いの種、滑稽でさえある。

困ったものだ。


自由詩 ところの引き出しに仕舞われてしまったあなたに Copyright ……とある蛙 2010-02-23 10:12:42
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