ファンタジック
宮野

「星がちりばめられたスカートをはいて
 スパンコールできらきらしている靴をはくの
 三日月のネックレスを首からさげれば
 それがどんな星にでもいけるチケットになるわ

 こぼれることばは模様
 星とかハートとかファンシーな模様
 黒になりきらないダークブルーの空には
 パステルカラーのことばたちがうかぶ
 意味なんかつうじなくったっていい

 そんな世界だからおとこのこたちはいらないわ
 だってふわふわでかわいらしいものなんて
 きらいなんでしょう?」

なんて言ってみたりして


ただ幼く淡い輪郭であったときの
少女に戻りたい

リボンとレースとパステルカラー
またたく星とチェシャ猫の口みたいな三日月
甘いチョコレートが大好きで
ふんわりと風になびくスカートはまだ
ただの少女だった



キスをするたびに実体ができる
だんだんと浮遊もしなくなって
その足には高いヒールのついたきれいな靴
コツコツと音を鳴らせば
ウェーブのかかった髪が靡いて
瞬きをするたびに星が弾ける
そんな

宝石箱みたいなからだ
発すことばも吐息もすべて
宝石みたいにきらきらしている

あのころの少女は消えて



すべてが嘘であったときに戻りたい
やたら宇宙になりたがったり
おとぎ話が現実であったときの
淡くゆがんだ嘘になりたい


自由詩 ファンタジック Copyright 宮野 2010-02-14 00:14:57
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