ゴリラの感慨
間村長

ゴリラは騎馬戦をやりながら
俺も四十歳になったのかと
昔の初恋を思い出しながら
川の中に設置された
飛び石橋を渡って居た

ゴリラはかつて沈黙の神と
恐れられたものだ
岩崎商事の社員で
大酒豪の称号も貰って居た

けれどゴリラの誤算は
妻子に足を引っ張られた事だ

妻の名前はロビンマスク
あれほど解説台を揺らすな
と言っておいたのに

子供の名前はドデカフォーン
まいっちんぐ真知子先生が好きだったが
今では産婦人科医を開業して
独立して居る

俺の人生どうなっちまうんだろうな
ゴリラは冗談とも本気ともつかぬ
感慨にふけりながら
飛び石橋を渡りながら煙草に火を付けた

川面かわもには嘗ては真っ赤だったと思われるが
今では土褐色色に変じて仕舞ったカエデの葉が


自由詩 ゴリラの感慨 Copyright 間村長 2010-02-03 17:11:13
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