笑う時だろうか
間村長

ゴリラを棚の上に載せると
エビスビール500ミリリットル入りの缶を
二本も開けて仕舞った
あんなにビールを嫌って居たのに
棚の上に載せただけであんなに美味しそうに飲むなんて
私はびっくりして自分で支出した事も忘れて
見とれて仕舞った

しかし私のゴリラ観察に思慮の足りない所や偏見は
無かったか

考えて見ればゴリラも会社の経営で心労が
溜まって居たのかも知れない
卵を割るのにゴリラだけじゃ足りなくて
サルやマントヒヒも連れて来たが
雇用情勢の悪化で
人出が足りないと雄たけびを上げて居たのだ

事態がそこまで深刻であれば
私はそのビール缶を証拠品として鑑定して貰いたいと
すら思った
私は白い手袋をはめなくてはならないだろう
DNA鑑定も必要かも知れない

ービール缶のDNA鑑定ー
ぷっ、私は思わず笑って仕舞ったが
それはビール缶なんかDNA鑑定出来る訳無いじゃん
と言うまともな突っ込みが私の脳内を
侵略したからでは無く

実に矮小化された者たちにレクイエムを
奏でる必要性を生じさせた宇宙船は
今頃何処を飛んで居るのだろうと言う
全然関係の無い想念に侵略されたからであった


自由詩 笑う時だろうか Copyright 間村長 2010-01-26 23:38:48
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