リラックス
チアーヌ

その場所は小さな木造モルタルのアパートで
たぶん1980年代のどこかで建てられたもの
疲れていたので
迷いはなかった
部屋に入ると
中は2DKらしいのだが
ごちゃごちゃと荷物が多く
狭く見える
きれいじゃない
片付いてない
その人と
少し話をした後
コースを告げられた
金額も
結構高いけど
疲れていたので
うなずいた
わたしは楽になりたかった
言われたとおりに寝巻きに着替え
外の物音や通りを走る車の音が
結構聞こえるので
がっかりしながら
わたしは

「はい、そっちに頭を向けて」
その場に寝転ぶように言われ
わたしはうつぶせになる
不思議なにおいがして
どーん

何かが落ちてくる
でもここなんとかならないの
頭のすぐそばには電子ピアノの足
気になってしかたないよ
こんなところで、
ねえ
でもすぐに
腹から変な温かみを感じ
ゆるい振動がわたしを包む
その人がわたしを床に付けるように
背中を押した
わたしは
ぐるり、
と眠くなった
自分でも信じられないほど急に
怖いぐらいに
眠くなった
だめだ眠っちゃいけないと思った途端
窓の外からいろんな人が
話しかけてきた
最初は子供、そして老人、おじさん、おばさん、若い男、女
わたしの背中を押すその人は
みんなと話をしている
眠っちゃいけないいけない
そのうちに温かい水が口元に寄せてきて
苦しさを感じないままわたしは溺れて行く
ねえたとえばこんな感じ
たとえばって
何?

わたしは目を覚ます
誰もいない
やっぱりひとりだ
やっぱり
お母さん
お母さん

ねえちゃんと覚めたい
この夢から覚めたい
覚めたい







自由詩 リラックス Copyright チアーヌ 2004-09-26 14:03:03
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