アッキーと一緒に / 奥主 榮
鵜飼千代子

お母さんと僕との間で
両手を広げて
アッキーは歩いている
飛び出してしまいそうな
力を漲らせたまま
手を振りきって
走り出したアッキーが
砂利に足を取られて転んだとき
僕は「だいじょうぶだよね」と言い
お母さんは「がまんしちゃダメ」と言う
我慢強いアッキーは
痣だらけになっても そのことを
お母さんに言わないのだという
お母さんと僕の間の
無限の距離の中で
アッキーは 走る
お母さんと僕の視線の高さに
まだ届かないアッキーは
背伸びをする前に抱っこをされて
静かに寝息をたてる
   1997年 7月 22日 奥主 榮


初出 NIFTY SERVE 旧 FPOEM
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自由詩 アッキーと一緒に / 奥主 榮 Copyright 鵜飼千代子 2010-01-30 07:23:43
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