黒豆
みい

おばあちゃんがわらっている
黒豆があんまりにもふっくらしていて
それはね、圧力鍋で炊いたのよって
たねあかしをしてしまうのが惜しいくらいに
私の魔法であると思わせたかったの


私は去年もう何度も婚約しています
そして約束をしてはうそつきになる
そんなことばかり繰り返しては
楽しんでいるの
なんて筈ないでしょ、おとうさん。


トム
うちの猫の名前
訂正 おとうさんの猫の名前
元はというとうちで飼ってた犬の名前
犬の後飼って逃げた猫の名前
トムは歩かないよ
首をかしげるよ
しっぽをふるよ
にゃぁんって鳴くよ
だけどウイーンって音がするよ
おとうさんは可愛がるよ
私はそれを滑稽に思うよ
だけど便乗して私とおかあさんもなでるよ
おにいちゃんは電池を抜くよ
充電器も猫のかたち


友達は喪中なのに明日私の年賀状が届いてしまう
「ごめんね」は今年最後のメールにしよう
その瞬間回線パンクしそうにあけましておめでとう
束にしてちょんぎったらそこでぷっつり
敢えてめかくしで1本だけ残す
それがもしもあなただったら
ずっと運命を感じたまんまでいてしまいそう


婚約はうそつきのはじまりなのよ。
ついトムに話しかける私を滑稽だと兄が言う
その兄が黒豆をおいしいと言う










自由詩 黒豆 Copyright みい 2004-09-21 09:45:02
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