縛られる
あぐり

金縛りにあったという夢をみた
金縛りにあったという/それは現実かもしれないが
誰が夢と今を切り離しているか、と問えば
それはおそらく(やっぱり)私の剃刀なのです

感じてる 重み
動かない 手
まるでこれはどうしようもなく現実の呼吸で
だから私は 夢だ と呟いてみる

あからさまな虚弱
意思疎通は不安
実りならぬ秋の空を歌えど
ほら もう 時計が進んでいるすすんでいる
(現実に散る)

ごふんかどうかもわからない金縛り
目だけを動かしている
わたしは滑稽だろうか
本当に此処は私なのか
否、もう規則的な鼓動など望めないのかもしれない、ないよ、もう
だってまるでこれはどうしようもなく現実の呼吸で
(おかあさん あなたのきれいすぎるえみのようだ)

雨水が垂れてくると
頬が感じたそれは
わたしの横でずっとわたしを、わたしだけを、わたしのわたしのわたしだけを
見つめていたあなたの柔らかく冷たい
体液、だった。

金縛りにあったという
それは
縛られる意識であった
感じてる 痛み(いたみ)
どうしようもなくまだ生きている





自由詩 縛られる Copyright あぐり 2009-09-28 23:26:08
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