塔野夏子

岬の白い道を歩いてゆく
突端をめざして一歩一歩
五月の空は
高らかに晴れわたっている

風が吹く
記憶が吹く
波が聴こえる
記憶が聴こえる

岬は細く長く
なかなか突端にはたどりつかない
それでも一歩一歩
歩いてゆく

      いつか夢で見たんだ
      岬の突端から見た対岸に
      きれいなガラスの山がそびえていたんだ
      ちょうどこんな岬だったよそんな気がする

五月の空は
いよいよ高らかに晴れわたり
白くつづく岬の道を
一歩一歩歩いてゆく

風に吹かれて
記憶に吹かれて
波を聴きながら
記憶を聴きながら



個人サイト「Tower117」掲載


自由詩Copyright 塔野夏子 2009-05-03 11:30:35
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