水町綜助

いくつか
間を置いたあとに
白紙を折りたたみ
コートのポケットにしまう
しまってぼくは
身体の中を思う

朝の中
はじめて
瞳の色や
ふたえ瞼がわかるなら
さし当たりの悲しみより
褐色のからだを思う
白いホリゾントを跳ね
喉笛の風洞から
風鳴りのような音を
情景はすべて停止し
細密画のようにかつて描かれていた
かさなる色は
光彩を凝視するように
放射状に視界を食い広げていく

秒針の先だとか
交差点だとか
喜望峰だとか
突端にたち
瞳孔をひらきつづける
情景はすべて
始点と終点のない
あるいはどこかとても遠くでつながった
無数の直線で
彩色は水のように
滲んでゆく

立ち止まれば
目に映るものは流れ
走り出せば止まり
また立ち尽くして
流れ出したとき僕は
猛烈に駆けだしたようだった



自由詩Copyright 水町綜助 2009-04-16 21:06:41
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