桜の花はあまり好きじゃないが
水町綜助

発音は銀色に
ぎらぎら光る手すりの曲面だとか
ビロードの毛羽立つ座席の
柔らかなスプリングだとか
陽射しを受けて鏡のように
ホームに立つ自分を映してしまうような
ガラス窓だかに当たって
曲がるか跳ねるか染み込むかして
欠けるか割れるか砕けるかして
てんでんばらばらに
違って聞こえるんだろう

電車を
降りていってしまった
ホームからは眩しすぎて
電車の中を見ることができない
車窓からは
川沿いの道が見えて
桜の花のようなものが
綿雲のように咲いているが
僕にはよくわからない


自由詩 桜の花はあまり好きじゃないが Copyright 水町綜助 2009-04-13 03:33:19
notebook Home 戻る  過去 未来