沸騰するやかんの底
霜天

どうしようかと
暮れている一日
些細な段差に躓いてみたり
心の縁を爪弾いてみたり


火の上で
ゆれるやかんに
お日様が降りていく
じゅっと
音を立てて
沈んで落ちていく

どうにもならない街の
隙間で部品の一つになってる
間の抜けた音を奏でてる
交差点
肩車にゆれているのは僕で
もう遠くのいつだったろう
二人分の視線の先で
お日様はゆれて落ちていた


沸騰するやかんの底
かたかたと蓋を鳴らす
そんな力強さに憧れていた
いつだったろう
いつだったろう
肩車の視線に
追いつけないでいる


引きずっている
いろんなもの、を
僕の足元を
いつだったろう
かたかたかた
やかんが鳴って
引き戻される



ほら
降りていく
やかんの
上の


自由詩 沸騰するやかんの底 Copyright 霜天 2004-08-23 02:52:37
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