風色の記憶/花ぬカジマヤー
AB(なかほど)

八つまわって生まれ年には
かざぐるまで遊びます
ずっとずっと昔から
そういうことになっております

孫達が方々探し歩いてくれましたが
あいにく
アメリカ色の
プラスチッキーなものしかないと
ばつが悪そうにしております

いえいえ
これで十分
こっちのほうが
風によくまわるのでしょう
くるくると

さてさて
この古木のような手で
風にかざせば
どんな楽しいことを
思いださせてくれるのでしょう




三線 半鐘 笛 の音
  三線 半鐘 笛 の音

色とりどりの 風車
赤花黄花 揺らされて
色とりどりの 風車
九月の風に 回されて

可愛い頬を 撫でられて
恥ずかしそうに はにかんで
あどけない目で 微笑んで
おぼつかない手で 応えてる

三線 半鐘 笛 の音
  三線 半鐘 笛 の音

両手の甲に 墨ハジチ
丈夫な母に なることと
幸せ祈り 刻まれた
娘のための 墨ハジチ

両手の甲に 託された
思いも今は 朧げに
語る相手も いなくなり
やがて消えゆく 物語

三線 半鐘 笛 の音
  三線 半鐘 笛 の音

泣かないように 生きてきて
あっという間の 生まれ年
泣かないように 生きてきて
八つ回って 生まれ年

右手に持った 風車
時に回され 風車
高く掲げた 風車
ハジチの野原 いつまでも


三線 半鐘 笛 の音
  三線 半鐘 笛 の音



どんなことを
思いださせてくれるのでしょう




三線 半鐘 笛 の音
  三線 半鐘 笛 の音


その風車 回す風
その風車 回す声
その風車 回す笑顔
その風車 回す涙

その風車 譬う喜び
その風車 譬う悲しみ
その風車 譬う心
その風車 譬う命

  つなぐ いのち


三線 半鐘 笛 の音
  三線 半鐘 笛 の音










  
  


自由詩 風色の記憶/花ぬカジマヤー Copyright AB(なかほど) 2004-08-18 16:55:00
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